2009年02月27日

【土・日曜日に書く】アンバランスな議員外交

                                                                   産経新聞 政治部・阿比留瑠比 2009.2.8
◆日中与党協議会の現実

 東シナ海のガス田開発問題、中国製ギョーザ中毒事件など、日中間にさまざまな懸案が横たわる中、今月19日から、第4回日中与党交流協議会が日本で開かれる。両国の与党幹部同士が政治経済、外交のあり方をめぐり意見交換を行い、両国の関係強化を図る目的で、平成18年からほぼ定期的に開催されているものだが…。
 「こんな極端にアンバランスなあり方を続けて、本当に与党交流といえるのか。まるで中国に位負けした朝貢外交ではないか」
 政府関係者はこう憤る。協議会の日本側責任者はそれぞれ党三役の一員である自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男の両政調会長が務める。中国の訪日団とは、麻生太郎首相も自民党総裁として会談する予定であるほか、自民党の細田博之幹事長主催の食事会なども催される見込みで、まさに下にも置かないもてなしぶりだ。
 一方、中国側団長は王家瑞共産党対外連絡部長で、「25番目まである共産党幹部の序列外。自民党の役職でいえば、せいぜい国際局長クラス」(日中外交筋)にすぎない。王氏はこの1月、平壌で北朝鮮の金正日総書記に会ったことで注目を集めたが、これも「党の役職の関係で会えただけで、金総書記と特別な関係はない。前任者の戴秉国氏(現国務委員)も会っていた」(外務省筋)という。

 さらに、王氏以外の訪日団メンバーも「中国外務省や商務省の副局長など役人がほとんど」(政府筋)。それぞれの専門分野には詳しくても、日本の与党幹部と日中関係の大局や将来について論じ、話がかみ合う相手ではない。

◆「友好」に平伏する愚

 日本は昭和47年の日中国交正常化以来、過去の歴史への贖罪(しょくざい)意識も働いて「日中友好」という4文字に呪縛(じゅばく)され、その言葉の前で思考停止を続けてきた。
 「日本外交は日中友好至上主義といってもいい。そして友好に反することは何かというと、それはもっぱら中国が決めてきた」
 日中間の戦略的互恵関係を提唱した安倍晋三元首相はこう指摘し、もっと落ち着いた実利的な関係の構築を主張する。だが、国会の現状は「与野党とも相手が中国だとバランスと価値判断を見失い、中身が何かを考えるよりもひたすら友好ムードの演出に走りたがる」(政府関係者)ようだ。
 過去の日中与党交流協議会では、なぜか野党である民主党も歓迎夕食会を開いている。中国の省庁の官僚らを与野党競って接待する姿は、滑稽(こっけい)とすらいえよう。
 親中派として知られた福田康夫前首相が昨年5月、四川大地震の弔問で駐日中国大使館を訪れた際には、こんなエピソードもある。旧知の書記官クラスの大使館員を見つけた福田氏は、親しげに「やあ、元気だった」と話しかけたというのだ。これには「日本国を背負う首相の、公の場での振るまいとしていかがか」(日中外交筋)との声が出ていた。
 日ごろは対中外交姿勢について、マスコミや政治家側に「弱腰だ」と批判されることの多い外務省内からも、「政治家はもっと矜持(きょうじ)を見せてほしい」(幹部)との本音が漏れているほどだ。
◆中国側にも強い危機感
 それでは中国は、日本の政治家が平身低頭しなければ、相手にしてもらえないような強い立場にいるのだろうか。逆に、胡錦濤国家主席は昨年12月に開催された改革・開放路線の30周年記念式典で、こんなあいさつをしている。
 「中国共産党の政権党の地位は永遠でも不変でもないので、党の政権担当能力と先進性を高め、腐敗を防ぎ、全党の団結を維持していかなければならない」
 日中外交筋によると、中国トップが公の場で共産党が政権を失う可能性に言及したことは、ほとんどなく、それだけ党上層部の危機感の強さが表れているようだ。
 中国では今年、都市部だけで1300万人分(うち大卒・大学院卒分が610万人)の新規就労機会の創出が要請されており、そのためにも8%以上の高い経済成長の維持が必要とされている。ところが、国家統計局が1月に発表した2008年の国内総生産(GDP)の実質成長率をみると、昨年10〜12月期(第4四半期)の成長率は6・8%にとどまった。
 また、中国国内では「年間8万7000件のデモや暴動などが起きている」(外務省幹部)といい、胡政権としては、雇用危機や社会不安の矛先が自分たちに向けられることへの恐怖があるのだろう。
 中国にとっても、日本の政治家といつまでも実のない友好儀礼を繰り返している場合ではないはずだ。今後も与党交流を続けるのなら、むしろ日本側から中国に「もっと高いレベルの実力者を頻繁によこすべきだ」と提案するぐらいしてはどうか。
posted by Depot at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | D/B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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